浜田真理子オフィシャルブログ「本日のハマダマリコ的こころII」

「極上」というネーミングを知ったとき頭をかすめたちょっとコンプレックスな思いは、「ロイヤルホース」のオープニング曲、メンバー全員による「小さな喫茶店」を聞いた途端に雲散霧消、どこに飛んでいったのか、残ったのは期待だけだった。
メンバー紹介を兼ねてという曲の最初はマリノとの「爪」、ついで檜山学との「夢の中でないた」、アコーディオンの音色の曲への寄り添い方がこんなにぴったり半端じゃないのは檜山さんが好きな曲だというだけではなさそうで、何度も聴いているはずの過去の演奏のうちでもこの組み合わせって出色でしょう、と思う、そして「極上のワルツ 」、フィーチャーされたソプラノサックスが、作曲者のコメントにあった「開き直り」感をこうじゃないですかと唄ってくれる。
「青い月のワルツ 」ではそれまで少し「ひかえめ」（？）だったチェロが、地上へ投げかけてくる月の光の鋭さを、これまた何でと思わせるように生彩に伝えてくれる。
畳みかけるような演奏で昂った気持ちを整理してくださいね、ということなのか、一部の終わりは「アデュー」、坐りなおして、ほとんど氷の溶けてしまったハーパーのロックをゆっくり口に含んだ。
二部は「ミシン」で始まった、音色が人間の声に近いというチェロとのデュオ、「自分でも怖かった」という橋本さんの感想だったけれど、意識と無意識の二重唱、この曲のもつ重層性が少し分かったような気がした、続けての「純愛」は一転、牧歌的な、角の取れた演奏が却って鈍器のような言葉の重みに気づかせてくれるようだ。
光を混ぜるように音を混ぜる、分かれて際立つ色がある、そしてまた混ざる、「ひまわり」のソプラノサックス、「哀しみのソレアード」のチェロ、アコーディオン、４人が、４つの楽器を多彩に響かせながら、Wアンコールの「わたしたちのうた」まで、真理子バンド「極上」のお目見えツアー、十二分に愉しませていただきました。
レコード出してくださいね、発売記念ライブ、愉しみにしています。